マテリアリティ(重要課題)と取り組み
トランザクショングループのマテリアリティ
トランザクショングループは、法人顧客向けのコンシューマープロダクツを中心に、企画開発からデザイン、製造・加工、販売、マーケティング・セールスプロモーションに至るまで、一貫したサービスを提供しています。すでに世間に存在しているモノを作るだけでなく、多様化する顧客の想いや、「○○消費」と呼ばれる時流にカタチを与え、モノに具現化することを強みとしています。
当社グループが取り扱う製品は、素材や用途がサステナブルなエコバッグなどの「エコプロダクツ」、推し活やトラベル、ペットなどのコト消費を起点とした「ライフスタイルプロダクツ」、ヘルスケア&ビューティアイテムなどの「ウェルネスプロダクツ」の3つに分けられます。これらの製品を、最短期間かつ適正価格で製造・販売するために、生産は海外の提携工場に委託しています。さらに、提携工場をフレキシブルに変更する「移動型ファブレス」を採用し、強固な海外サプライチェーンを築いています。そして、企画開発力や営業力、モノづくりのノウハウ、サプライチェーンといった強みを維持し、時代とともに移り行く顧客の想いや社会の潮流をいち早くつかみ、まだ顕在化ないしは潜在化さえしていない顧客の「欲しい!」を発掘・創造することで、顧客の利益と満足度の最大化に挑み続けています。
サステナビリティがより重要視される中で、トランザクショングループがこれからも強みを維持し、社会に価値を提供し続けていくために、2020年に特定したマテリアリティの見直しを2024年に実施しました。見直しにあたっては、取引先や社会といったステークホルダーへの影響度に加えて、当社グループの事業や経営への影響度も加味して、持続的な企業であり続けるためのマテリアリティとして再特定しました。
特定プロセス
Step.1 課題の抽出
サステナビリティに関するグローバルな開示基準*やESG評価機関、業界の動向、他社事例を参考にロングリストを作成し、当社グループにおける企業価値の向上と環境社会への影響の視点を軸として、社会・顧客ニーズを洗い出し、サステナビリティに関する課題をショートリストとして抽出しました。
*ISO26000、SDGs、GRIスタンダード、SASBスタンダード
Step.2 重要度に関する検討
代表取締役会長、代表取締役社長、取締役を含むサステナビリティ委員会メンバーに加え、次世代幹部候補といった経営に深く関与するプロジェクトのメンバー、社外取締役を対象としたアンケートやヒアリングを通じて、「トランザクショングループにおける重要度」及び「ステークホルダーにおける重要度」の観点から、抽出・整理された課題をそれぞれ評価しました。
さらに、投資家との対話を通じた客観的な意見も加味し、それぞれの課題を評価、当社グループ及びステークホルダーにおけるマテリアリティを絞り込みました。
Step.3 マテリアリティの特定
サステナビリティ委員会において、当社グループ及びステークホルダーにおける重要度の観点から妥当性や見直すポイントを協議、マテリアリティとする内容及びそれぞれの重要度を決定した後、取締役会の承認を経て、マテリアリティを再特定しました。
Step.4 今後の運用
マテリアリティに関する取り組み及び社内浸透を推進するため、サステナビリティ委員会を中心として、目指す姿に向けた達成状況の管理やモニタリングを実施します。取締役会は、サステナビリティ委員会より取り組み状況や達成状況の報告を受け、報告内容に関する管理・監督を行い、マテリアリティに基づく経営を推進していきます。
特定したマテリアリティ詳細
マテリアリティ | 重要な理由及び目指す姿 | 〇機会 ●リスク | 社会へのインパクト | 主な取り組み |
---|---|---|---|---|
エコプロダクツの拡大 | これまでも、エコ認証を得た製品の取り扱いなど、環境に配慮したモノづくりに力を入れてきました。今後も、エコプロダクツに対する需要は拡大すると考えられます。加えて、グリーンウォッシュとならないための対策や、リサイクル原材料の使用といった取り組みを推進し、より環境に配慮した製品の取り扱いを強化することで、社会の需要に応えていきます。 | [機会]
〇エコプロダクツへの関心の高まりによる「エコプロダクツ」の需要拡大
〇循環型生産の仕組みづくりによる顧客の獲得と長期的な関係性の継続 〇再生可能な原料を使用した製品を開発することによる競争優位性の向上 〇正式な認証を得たエコプロダクツの提供によるレピュテーションの向上 [リスク] ●グリーンウォッシュ等によるレピュテーションの低下 ●エコプロダクツの耐久性向上や供給過多による、製品の需要低下による販売数の減少 ●ESG/SDGsへの関心の高まりや各国の規制強化による生産、物流コストの上昇 |
・エコプロダクツの推奨や利用シーンの提案による、顧客の行動変容
・エコプロダクツの開発による環境負荷軽減への貢献 ・生産工程における温室効果ガスの削減貢献 ・土壌汚染、海洋汚染の削減 ・廃棄されるごみ、マイクロプラスチックなどの削減 ・サステナブル社会の実現やSDGsの達成への貢献 |
・廃棄物やリサイクル素材、アップサイクル素材を活用した製品の開発
・サステナブル素材の調達強化 ・既存カテゴリー製品の素材をサステナブル素材に切り替え、新製品開発を推進 ・第三者認証製品、及び国際的な基準に適合した製品の開発 ・3R(リユース・リデュース・リサイクル)に即した製品の開発 ・サステナブルな運動やキャンペーンへの参加 ・トレーサビリティの仕組み化 |
サプライチェーンマネジメント
※主に海外での生産について |
当社グループはファブレス生産体制を採用し、600社以上のサプライヤーに委託して日々様々な製品を生産しています。サプライヤーとの関係構築がビジネスを続けるうえで非常に重要であるため、現地調査などを通した生産過程でのリスク軽減、及び現地の雇用環境の改善に取り組みます。 | [機会]
〇ファブレスによる適地生産体制の維持
〇より良い製品の持続的開発及び生産 〇より競争力のあるサプライチェーンの構築により多品種の製品を適正価格で安定供給 [リスク] ●サプライヤーの減少による供給力の低下 ●生産工程における環境対応の負荷増大による製品調達への影響 ●生産委託先の環境変化による人件費や、為替の変動による原材料価格、物流コストの上昇 ●人権侵害などによるレピュテーションの低下 ●地政学リスクや災害、パンデミックの発生による物流の寸断や生産の停止 |
・生産委託先のある地域の雇用創出及び技術力の向上による経済活動の活性化への貢献
・生産委託先における安全で健康的な労働環境の提供 ・生産委託先工場における強制・児童労働などの人権侵害の防止 ・生産委託先における環境汚染の抑止 |
・時代や情勢の変化に合わせたサプライヤー選定基準の設定(保有設備、管理体制、人権の保全状況、労働環境等含む)
・サプライヤー工場への定期的監査の実施 ・サプライヤー工場への視察及び現地検品 ・サプライヤーへの技術支援 ・サステナブル調達の推進 |
迅速かつ安定した供給 | ファブレス生産体制で、国内外の工場で生産、国内に在庫し、顧客が必要とするものを迅速に提供することを重視しています。さらに、機会ロスを生まず、安定して供給し続けるために在庫管理にも注力しています。平常時はもとより、災害やパンデミックなどの有事にも即座に対応できるこの強みを維持することで、高い顧客満足度と利益の両立を実現し、顧客や社会から必要とされる供給体制を維持・改善し続けます。 | [機会]
〇市場トレンド製品の短期投入、災害やパンデミック等の緊急時における迅速な製品供給による収益確保
〇代替工場や代替原材料の活用による安定調達の確保とコスト低減、収益機会の拡大 〇ネットワークを活かした製品調達先や印刷委託先の選定 [リスク] ●経済環境の変化、政治的・社会的情勢等に伴う原材料価格、物流コスト、人件費の上昇及び原材料の供給不足 ●需要予測違いによる機会損失、過剰在庫の発生 ●地政学リスクや災害、パンデミックの発生による物流の寸断や生産の停止 ●為替の変動による原材料価格、物流コストの上昇 |
・経済の活性化への貢献
・適正価格による製品供給(価格変動リスクを低減) ・災害やパンデミック発生等緊急時の製品供給による貢献 ・過剰生産による環境負荷 |
・複数国、複数地域による生産体制の整備
・海路、空路、陸路など複数の方法で最適な物流を確保できる体制の整備 ・アイテム毎に複数サプライヤーを確保、発注から生産・品質管理、物流、在庫管理の効率化・適正化 ・需要予測、在庫回転率に基づいた適正な発注数量のコントロール |
DXの推進 | 業務効率化や新規事業創出のためには、DXの推進が重要であり、企業が競争優位性を維持、成長し続けるために重要な取り組みです。デジタル技術の活用による業務プロセスの改善や新たなビジネスモデルの構築が求められている中で、製品やサービス提供の効率を高めるためにはECプラットフォームの高度化が不可欠です。当社グループのプラットフォームは、印刷加工などの工程も可視化し、ECサイトにおいて受注から販売、決済までを完結させています。また、顧客や販売の情報をデータベース化して新製品開発や営業活動に活用しています。さらに、プラットフォームの情報や機能を顧客企業に提供することで、三者(当社グループ、顧客企業、最終消費者)が満足できる状況を目指しています。 | [機会]
〇ECサイトの利便性向上による売上拡大
〇デジタルツールの導入及び活用による業務の効率化・自動化及びコスト低減 〇データを活用した需要予測力、品質管理力、生産管理力の向上 〇デジタルツールの導入による、情報セキュリティ強化 [リスク] ●個人情報流出、誤記載、過大表現による信用リスク及びセキュリティリスク ●デジタル技術活用の遅れによるECサイトの陳腐化 ●非効率なシステム化による高コストの継続、コストの上昇 ●システム障害の発生による業務停止リスク |
・顧客の購入機会の多様化への対応、購入意欲の促進
・ECサイトのUI/UX改善による、顧客の購買時における利便性向上 ・デジタル化推進によるセキュリティ強化により顧客に安心を提供 ・DXによる新規事業創出などイノベーションの実現 |
・ターゲットごとの顧客ニーズに合わせた多様なECサイトの運営
・ECサイトの利便性向上、業務のシステム化(生成AIの活用) ・データ収集、デジタルリテラシーを高める研修 ・受発注に関わる業務の自動化 ・デジタル人財の確保、外部ネットワークの拡大 ・業務効率化を目的としたデジタルツールの積極的導入 |
企画開発・提案力 | 当社グループのビジネスモデルを維持するためには、社員ひとりひとりの豊かな発想による新製品の企画開発や、顧客への提案力が欠かせません。時流や「〇〇消費」などのトレンドを先取りした製品をいち早く市場へ提供するために、社内データを活用したナレッジ化やマーケティング体制の強化などの取り組みを通じ、新たなライフスタイルにフィットする製品を社会に届けていきます。 | [機会]
〇競合との差別化、強みの醸成による収益力の向上
〇顧客満足度を高めることによるレピュテーションの向上 〇新しい市場の需要や顧客の要望に応える革新的な製品やサービスの開発 〇エンタメ・IP分野における物販市場の成長、消費の拡大にともなう収益の拡大 [リスク] ●ステークホルダーの多様化する価値観とそこから生まれるニーズに製品ラインナップが合致しないことによる機会損失、不良在庫の発生 ●既存需要減少による売上減少 |
・時流や「〇〇消費」などのトレンドを先取りする市場の拡大
・物理的及び心理的にも豊かな社会生活の実現への貢献 ・日本が誇る文化であり成長産業でもあるエンタメの、国内・海外を含めた認知度向上 |
・市場ニーズをとらえた製品の企画・開発、迅速な市場投入、IPを活用した企画提案の強化
・新しい技術を取り入れた製品の市場投入 ・消費者動向や新しいトレンド情報の発信を通した顧客企業の需要喚起 ・社員の「好き」を活かした製品の開発やサービスの提供 ・新規事業開発体制の構築 ・マーケティング・企画部門の対応力強化 ・国内外で開催される展示会視察による情報収集、若手社員とのコミュニケーションを通したトレンドの把握 |
人的資本の強化 | 当社グループのビジネスモデルを維持し、顧客に必要とされる製品・企画の提案やサービスを提供し続けていくためには、同じ志を持つ人財の獲得・育成・確保が不可欠です。この人的資本を拡充・最大化し続けていくために、企業が重視する価値観の発信や浸透はもちろん、自身の能力を発揮することができる職場環境の整備、成長を実感することができる人事制度や研修制度の構築など、社員のエンゲージメントを高める取り組みを強化していきます。 | [機会]
〇価値観の共有による、社員のエンゲージメント向上
〇人財の定着による戦力強化及び発案の品質向上 〇人財の確保・育成による既存事業の強化及び新規事業創出 〇次世代経営層の育成・強化による持続的な成長、組織の強化による事業の拡大 [リスク] ●ノウハウを持つ人財の流出によるナレッジの喪失 ●求職者減少による人財獲得競争の激化、採用コスト上昇 ●人財不足による競争力や成長スピードの低下 ●次世代経営層の不足、組織の弱体化による事業成長の減速、後退 |
・社員の仕事に対するモチベーションの向上、働きがい・生きがいの創出
・社員ひとりひとりの成長実感の促進、早期活躍の実現 ・社員が各地で活躍することによる各国での発展への貢献 ・多様な人財に対応した職場環境の継続的整備及びロールモデルの確立 ・主体性を持った社員による、新たな価値やイノベーション創出 ・顧客に提供するサービスの品質向上及び満足度や付加価値の向上 |
・採用育成の強化、専門人財の採用活動
・外部講師を招聘した研修の実施 ・ジョブローテーションの実施 ・役職別研修の実施 ・適切な人事評価及びフィードバックの実施 ・社員エンゲージメント向上のため、労働条件や経済処遇の改善と就業環境の整備を継続的に実施 |